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~61.1kmの日常~

駅前の賑わいを創出する人

エール北上線

駅前の賑わいを創出する人

ネビラキカフェ 瀬川然さん・瑛子さん

JR北上線・ほっとゆだ駅(西和賀町)から徒歩4分。「ネビラキカフェ」は錦秋湖が一望できる湖畔のカフェ。

珈琲を飲みながら考えごとをしたり、おしゃべりしたり、ときには新しい出会いを楽しんでみたり、訪れた人それぞれが居心地の良い時間を過ごせる沿線の贅沢スポットです。

今回はカフェを運営する瀬川然さん、瑛子さんにお話を伺いました。

最初にお二人の経歴について教えてください

然さん)生まれも育ちも西和賀町で、父が写真家で自然保護をやっていた関係もあり、小さい頃から自然に親しんできました。西和賀高校卒業後に(株)西和賀産業公社へ入社。現在は退職してネイチャーツアーガイドとカフェ、開業予定の宿も含め、エリア再生に関わる取り組みを行なっています。

瑛子さん)東京都出身で、農林水産省、飲食業界を経てベンチャー企業で食品のプライベートブランド立ち上げに携わってきました。その後『東北食べる通信』という情報誌の会社に転職し岩手へ。結婚を機に西和賀町へ移住し、現在はネビラキカフェを営んでいます。

JR北上線に関して取り組まれていることはありますか?

然さん)まずは移動手段として北上線を勧めていますね。レンタカーもいいですが、北上線を使って西和賀町に入られた方が断然面白いですよ、と。

瑛子さん)北上線は崖沿いを走るんです。安全運行いただいてる安心感があってこそですが、雪の降る日はスリリングな感覚を楽しんでみたり。西和賀町までの行程ではトンネルを何度もくぐるので、一山越えるだけで全く違う景色に様変わりするのにはいつも驚かされます。

これって北上線ならではの風景なので、西和賀町に来る際はぜひ北上線を利用して道中も楽しんでほしいですね。

然さん)北上線の通過時間に合わせてカヌーツアーを実施することもありますよ。朝にカヌーで出発して、北上線の見えるポジションで待機するんです。すると橋を通過する北上線を下から見上げて楽しむことができる。こうしてロケーションとして地域に溶け込んでいるのも北上線の魅力ですね。

駅前のにぎわい創出に関わる、話し合いの場も設けられているんですよね

然さん)駅前の元旅館だった場所を利用して、今後のまちづくりに関して話し合う場を設けています。長年使われていない建物でしたので、掃除などをしながら場を整備するところから始めました。

話し合いには西和賀町への移住者も参加してくれていて、今後の西和賀町をどうしていきたいのか、それぞれの課題意識を持ち寄り議論を深める場になっています。

ほっとゆだ駅の2階にある休憩スペースで、まちづくりに関して話し合う機会を設けたこともありましたね。

なるほど、駅舎にも様々な利用方法があるんですね。そんな「ほっとゆだ駅」は温泉がある全国的にも珍しい駅舎ですが、利用機会は多いですか?

然さん)温泉には毎日入っています。そこも北上線が存続してほしい理由の一つです。コミュニケーションの場にもなりますし、近隣には1日に3回も温泉に入るほど気に入っている方もいますよ。

駅前を居心地の良い通りにしたいという思いから、浴衣を着てほっとゆだ駅まで歩いて行く取り組みもしていました。ほんの数百メートルの距離を歩くだけですが、地元の方にたくさん声をかけてもらえましたね。

瑛子さん)拠点を持ったのがたまたま駅近の物件だったということもあり、北上線のこと、駅周辺を盛り上げることを自然と考えています。北上線で帰るお客さんを、カフェから見送ることができるのも嬉しいですね。

冬期間はほっとゆだ駅の除雪作業もされているとか?

然さん)そうですね、雪の降る日はほっとゆだ駅構内の除雪作業をしています。待機時間もあるわけですが、駅から近い分、こちらの仕事にも迅速に対応できていますよ。

西和賀町は豪雪地帯なので、雪と北上線が雇用を生み出してくれている実情もありますね。

JR北上線と関わりが深いお二人ですが、日頃感じていることはなにかありますか?

然さん)西和賀町は山に囲まれた立地なので、ある意味では異世界だなと思っているんです。その意味でも移動手段の鉄道はとても大切。宮沢賢治も作品で鉄道をモチーフにしているように、鉄道って異世界と繋がる乗り物だなって。

瑛子さん)ハリーポッターは電車に乗って魔法学校に行きますよね。北上駅には全国的にも珍しい「0番線乗り場」があって、そこから北上線に乗ることができます。

自動車が一般化した昨今ですが、どうせなら移動中も楽しみたい。そんな時にあえて北上線を選ぶことで、パラレルワールドに冒険するようなワクワクする気持ち、非日常感が味わえます。

最後にこれからのJR北上線について思いを聞かせてください。

然さん)やはり持続してほしい、というのが一番ですね。季節ごとの風景を北上線独特の路線で感じる高揚感は格別です。乗車人数が減少しているのはやむを得ないことだと思いますが、観光の視点で見てみれば、北上線はとても魅力的な乗り物なんです。

北上線は西和賀町のアイコン的な存在でもあるので、今後は観光面での連携も深めていけたら良いなと感じています。

瑛子さん)北上線があることで西和賀町と近隣市町村がつながっているという安心感はとても強い。今、山村留学で西和賀高校に通っている学生がいますが、当初は他の高校と迷っていたらしいんです。西和賀を選んだ決め手は電車で通えることだったそう。

おてつたび※を通じて西和賀町を知り、訪れる方もいるので、遠方から自力でアクセスできる手段があるという意味でも北上線の存在は心強いです。

運転できない方が西和賀町に来れる、あるいは西和賀町から近隣市町村にアクセスできるのは、北上線があるからこそ。とくに高齢化社会の中では北上線がとても大切で欠かせない移動手段ですね。

※「おてつだい」と「旅」を合わせた造語で、人手不足などで困っている地域と旅人をマッチングするサービス。